
2026年4月、グローバル人材の求職者動向〜新年度の「二極化」鮮明に。IT関連・エグゼクティブ層が牽引する一方、サービス・教育系は反動減〜
ヒューマンリソシア株式会社が運営するバイリンガル転職サービス「Daijob.com」は、2026年4月のグローバル人材の動向をまとめた「Daijob.com求職者動向レポート」を発表いたしました。
なお、2026年2月の「Daijob.com求職者動向レポート」、下記URLで公表しています。
グローバル人材動向について:ここで指すグローバル人材とは、Daijob.comに登録しており、英語・日本語ともにビジネスレベル以上の言語能力を持つ人たちです。この対象者の中で、特定の期間中に「応募履歴がある」または「スカウトメールに興味を示した」ユーザーの動向を分析しています。
【主なトピック】
- 前月比分析:IT関連とエグゼクティブ層が底堅く推移、教育・クリエイティブは季節的調整
- 前年同月比分析:長期トレンドでは「高度専門職」へのシフトが加速
前月比分析:IT関連とエグゼクティブ層が底堅く推移、教育・クリエイティブは季節的調整
4月の前月比データでは、多くの職種で数値が減少する中、IT関連(3.6%増)およびエグゼクティブ/経営(7.2%増)がプラス成長を維持しました。一方で、年度末の繁忙期を過ぎた教育/トレーニング/語学系(24.6%減)や、クリエイティブ(26.6%減)、営業(23.0%減)は大幅な減少を見せており、新年度開始に伴う活動の落ち着きが顕著に表れています。
2026年4月の「求職者数」動向比較(前月比)

前年同月比分析:長期トレンドでは「高度専門職」へのシフトが加速
前年同月比では、市場の構造変化がより明確になっています。エグゼクティブ/経営(32.3%増)と金融/保険/不動産系(23.8%増)が高い伸びを示しており、ハイレイヤー層の流動性が高まっています。また、IT関連(19.4%増)も二桁成長を継続しており、DX需要の持続が裏付けられました。一方、営業(35.0%減)や教育系(23.2%減)の減少幅は大きく、採用市場におけるニーズの峻別が進んでいることが示唆されます。
2026年4月の「求職者数」動向比較(前年同月比)

考察:2026年4月、市場の「質的変化」とマクロ経済の交差点
2026年4月の求職者動向を深掘りすると、単なる季節変動に留まらない、グローバル人材市場の構造的変化が見て取れます。以下の4つのポイントから、その背景を詳説します。
1. 新年度開始に伴う「キャリアの再定義」とエグゼクティブ層の動向
通常、4月は新年度の組織改編や人事異動が行われる時期であり、一般職種では「現職での新たな役割」に注力するため、求職活動が一時的に停滞する傾向(営業系の23.0%減など)があります。しかし、エグゼクティブ/経営(前月比7.2%増、前年比32.3%増)が伸びている点は注目に値します。これは、2026年度の事業計画が確定した段階で、外部からの変革者を求める企業ニーズと、新体制に自身のビジョンを重ねられなかったシニア層のミスマッチが表面化した結果と考えられます。
2. 「2025年の崖」を超えた先の、全産業的なIT人材争奪戦
IT関連職種(前年比19.4%増)の持続的な増加は、もはや一時的なブームではなく、企業の基幹システム刷新やAI実装が「実行フェーズ」に移ったことを示しています。特筆すべきは、前月比でもプラスを維持している点です。多くの職種が新生活の準備で動きを止める中、IT人材は「プロジェクトの区切り」を機に、より好条件(リモートワーク、グローバルプロジェクト、高年収)を求めて即座に動く傾向が強まっており、企業側には迅速なスカウト対応が求められています。
3. 歴史的な賃上げの影響と、サービス・リテール系の「選別眼」
サービス・リテール系(前年比11.5%増)の伸びは、インバウンド需要の継続と、それに伴う「賃上げ」の波が影響しています。2024年から続く高い賃上げ率を受け、求職者は「より給与の高い、あるいは労働環境の整った外資系ブランド」への乗り換えを検討する傾向にあります。ただし、前月比では12.6%減少しており、3月の「駆け込み転職」を経て、4月は「じっくりと案件を見定める」フェーズに移行したと推察されます。
4. 営業職および教育職の減少にみる、ビジネスモデルの転換
営業(前年比35.0%減)の極端な減少は、本レポートにおける最も大きな懸念材料、あるいは変化の兆しです。これは、インサイドセールスの定着やAIによる営業支援ツールの普及により、従来の「足で稼ぐバイリンガル営業」の市場価値が相対的に低下し、求職者側も「営業×マーケティング」や「営業×コンサル」といった複合的なスキルへの転換を迫られている可能性を示しています。
5. クリエイティブ・営業職における「価値の二極化」と選別
前年比で減少した営業(15.6%減)や企画/マーケティング/PR(15.8%減)については、市場の「質の転換」として捉えるべきです。AIによる営業支援ツールや生成AIによるコンテンツ制作が標準化した2025年から2026年にかけて、汎用的なスキルを持つ人材の需要は相対的に低下しています。しかし、3月の前月比では営業が27.7%増と跳ね上がっています。
これは、新年度を前に「AIを使いこなし、人間にしかできない高度なソリューション営業ができる人材」が、自身の価値を正当に評価してくれる企業を求めて動き出した結果です。数(Volume)ではなく質(Quality)へのシフトが起きており、企業側にとっては「母集団が減っているからこそ、市場に出てきたハイクラス層をいかに逃さないか」という、より精緻な採用基準が求められています。
まとめ
2026年4月のマーケットは、「定性から定量へ、汎用から専門へ」という求職者のマインドセットの変化が浮き彫りになりました。
- 企業への提言:
ITやエグゼクティブ層の意欲が高い今こそ、スペック重視の採用から「ミッション共感型」の採用への切り替えが必要です。特に営業職の採用においては、従来の要件を見直し、DX対応能力を重視した定義の再構築を推奨します。 - 求職者への提言:
全体的な求職者が減少する4月は、実はライバルが少ない好機です。特にエグゼクティブ層やIT関連の方は、企業側の次年度予算が確定した直後のこの時期に動くことで、有利な条件交渉が期待できるでしょう。
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