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2026年7月、グローバル人材の求職者動向〜年末に向けた「戦略的待機」期間に突入、電機・機械とサービス・リテールのみが前年比で堅調に推移〜

ヒューマンリソシア株式会社が運営するバイリンガル転職サービス「Daijob.com」は、2026年7月のグローバル人材の動向をまとめた「Daijob.com求職者動向レポート」を発表いたしました。

なお、2026年6月の「Daijob.com求職者動向レポート」、下記URLで公表しています。

2026年6月、グローバル人材の求職者動向〜金融・不動産系が前年比約40%増と際立つ伸び、IT関連も堅調な中、汎用ホワイトカラー職種は縮小の二極化傾向へ〜

グローバル人材動向について:ここで指すグローバル人材とは、Daijob.comに登録しており、英語・日本語ともにビジネスレベル以上の言語能力を持つ人たちです。この対象者の中で、特定の期間中に「応募履歴がある」または「スカウトメールに興味を示した」ユーザーの動向を分析しています。


【主なトピック】

  • 前月比分析:営業と電機・機械が二桁成長を記録
  • 前年同月比分析:クリエイティブと金融が4割減、市場全体が沈静化

前月比分析:営業と電機・機械が二桁成長を記録

2026年7月の前月比データでは、夏のボーナス支給後特有の動きが確認されました。営業(14.9%増)や電機・機械(12.1%増)、またインバウンド需要の継続を背景としたサービス・リテール系(7.6%増)が伸びを示しています。一方で、金融/保険/不動産系(23.2%減)やIT関連(15.7%減)は大きく落ち込み、職種間で流動性の明暗がくっきりと分かれる結果となりました。

さらに注目すべきはその他の職種(20.7%増)の急増であり、既存カテゴリーに収まらない新規職種への移行が示唆されています。

2026年7月の「求職者数」動向比較(前月比)
2026年7月の「求職者数」動向比較(前月比)

前年同月比分析:クリエイティブと金融が4割減、市場全体が沈静化

前年同月(2025年7月)と比較すると、グローバル人材市場の構造的な変化が浮き彫りになります。電機・機械(4.2%増)とサービス・リテール系(5.0%増)を除くほぼ全ての職種で求職者が減少しました。

特にクリエイティブ(42.4%減)、金融/保険/不動産系(38.8%減)、アドミン系(22.7%減)の減少幅は圧倒的です。全体として求職者のアクティビティが低下しており、人材獲得競争のルールが変わりつつあることをデータが物語っています。

2026年7月の「求職者数」動向比較(前年同月比)
2026年7月の「求職者数」動向比較(前年同月比)

考察:2026年下半期の市場トレンドと背景

1. 季節要因と夏のボーナスがもたらす「限定的」な流動性シフト

例年、7月は「夏のボーナス支給後」の転職活動が活発化する時期です。前月比で営業職が14.9%増加したことは、この季節要因を如実に反映しています。業績連動型の賞与を受け取った後、キャリアアップや年収アップを目指して動き出す層が一定数存在します。
しかし、前年同月比で見ると営業職は-13.6%と沈んでおり、ボーナス後の「駆け込み転職」の波自体が、過去数年と比較して小規模に留まっていることが分かります。これは後述するマクロ経済的要因(賃上げ等)が、季節要因の波を打ち消すほど強力に働いていることを示しています。

2. 電機・機械の特異な増加とその背景(製造業のルネサンス)

ほぼすべての職種が前年比でマイナスに沈む中、電機・機械(前月比+12.1%、前年比+4.2%)の堅調さは極めて特異です。この背景には2026年の日本経済を牽引する巨大なトレンドが存在します。
第一に「経済安全保障」を目的とした国策レベルの半導体工場(熊本のTSMCや北海道のRapidus等)の本格稼働とサプライチェーンの拡充です。
第二に、定着した円安水準を背景に、日系製造業が国内生産回帰を進め、輸出主導で過去最高益を記録している点です。これにより、ハードウェアエンジニアや生産管理等のバイリンガル人材に対する需要が爆発的に高まっており、企業側の強気な採用(高待遇オファー)に惹きつけられた求職者が市場に流入し続けています。

3. マクロ経済と「賃上げ」のパラドックス:インフレ手当が引き起こす「戦略的待機」

前年同月比での広範な求職者減少(IT-8.0%、エグゼクティブ-13.3%等)の最大の要因は、2026年春闘以降に日系・外資系を問わず実施された「歴史的な賃上げ」が考えられます。

物価高(インフレ)に対応するため、多くの企業がベースアップやインフレ手当の支給、リテンション(引き留め)パッケージの強化を行いました。結果として、優秀なグローバル人材ほど「現職での給与が上がったため、今無理にリスクを取って転職する必要がない」という心理状態に陥っています。

これは市場からの退場ではなく、より良いオファーが来るまで動かない「戦略的待機」現象であり、企業は「転職顕在層」ではなく、この「待機中の潜在層(パッシブキャンディデイト)」をいかにスカウトで口説き落とすかが問われています。

4. 「2025年の崖」のその先:IT関連・コンサルティングの踊り場

IT関連(前月比-15.7%、前年比-8.0%)およびコンサルティング(前年比-7.1%)の減少は、日本のDX市場における一つの転換点を示しています。経済産業省が警鐘を鳴らした「2025年の崖」に向けたレガシーシステム刷新の特需がピークを越え、2026年現在は「実装後の運用・評価フェーズ」に入っています。

企業は無尽蔵なIT投資を控え、ROI(投資対効果)を厳格に見極めるフェーズに入ったため、IT人材の流動性も一時的な踊り場を迎えています。また、グローバルなメガテック企業のレイオフの影響が日本支社の採用枠にも波及していることも見逃せません。

5. クリエイティブ・アドミン系の構造変化:生成AIの本格実装が与える影響

今回のデータで最も顕著なのは、クリエイティブ(前年比-42.4%)とアドミン系(前年比-22.7%)の激減です。これは2026年に入り、生成AI(ChatGPT等の進化版や各種Copilot)が「試験導入」から「本格的な業務実装」へとフェーズを移行したことの直接的な影響と推測されます。翻訳、簡単なデザイン、データ入力、ルーティン事務などの業務がAIに代替されつつあり、企業側の当該ポジションでの採用意欲が低下。それに伴い、求職者側も「この職種でキャリアを積むことのリスク」を察知し、異業種へのピボット(スキルチェンジ)を模索して市場から姿を消している可能性が示唆されました。

6. サービス・リテール系の底堅さ:インバウンドと多言語人材の価値再定義

サービス・リテール系(前月比+7.6%、前年比+5.0%)は堅調に推移しています。これは訪日外国人観光客(インバウンド)の復活と、富裕層向けツーリズム・ラグジュアリーリテールの活況が支えています。

AIでは代替できない「対面での高度なおもてなし」「リアルタイムの多言語コミュニケーション」「異文化理解」を持つグローバル人材の価値はかつてなく高まっており、ホテル、高級ブランド、観光テック企業間での人材引き抜き合戦が求職者の流動性を後押ししています。

7. 「その他の職種」急増が示唆する求人ニーズの多様化

最後に、その他の職種(前月比+20.7%、前年比+3.1%)の増加も見逃せません。

主要な職種カテゴリが軒並みマイナスとなる中、ここに分類されない人材が増えているということは、従来の「営業」「IT」「事務」といった枠組みに収まらない新職種(例:AIプロンプトエンジニア、サステナビリティ/ESG推進担当、データ倫理オフィサーなど)が台頭している可能性があります。

労働市場のパラダイムシフトが、まさに今起きていることを示しています。

まとめと今後の提言

2026年7月のレポートからは、「人材流動性の二極化」が鮮明に読み取れます。賃上げにより現職に留まる「戦略的待機層」が増える一方、電機・機械やサービスといった特定領域、あるいは新たな職種へとキャリアをピボットする層が動き始めています。

企業の人事・採用担当者にとっては、「求職者が減っている=採用が困難」と悲観するのではなく、待機層をダイレクトリクルーティング(スカウト)でピンポイントに狙い撃ちする絶好のチャンスです。

一方、求職者は自身のスキルが「AIに代替されるもの(アドミン・一部クリエイティブ等)」か「AIを活用・補完するもの(対人折衝、ハードウェア等)」かを冷静に見極め、自身の市場価値を再定義する時期に来ていると言えます。


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「Daijob.com」公式編集部
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